
「父母が 頭かきなで 幸(さ)くあれて 言ひし言葉(けとば)ぜ 忘れかねつる」
これは『万葉集』に収められた防人の歌の一つです。
「父と母が『無事でいなさい』と言って頭を撫でてくれた、その言葉が忘れられない」
と詠まれています。
防人とは、北九州の防備にあたった兵士たちのこと。
頭を撫でるという仕草には、無事を祈るおまじないの意味があったとも言われています。
この短い歌の中には、子どもの無事を願う親の愛情と、その愛を受け取って旅立つ息子の思いが凝縮されています。
1200年以上も前に詠まれたにもかかわらず、現代の私たちにも深く響くのは、そこに変わらぬ真理――親子の愛情があるからなのでしょう。
親子の深い愛は、人と人とが社会の中で支え合って生きていくうえで、根っこにあるべきものだと思います。
人を思いやる心。誰にとっても大切で、言葉にするまでもないことですが、ふと自分の日々の言動を振り返ると、その気持ちが少し薄れてしまっていることもあるかもしれません。
聖ホセマリア・エスクリバーの言葉に、こんな一節があります。
「愛徳は『与えること』よりも、むしろ『理解する』ことにある。
それゆえ隣人を判断する義務があるときには、その人の言い分を捜してあげなさい。
必ず見つかるはずだ」
(『道』463)
今月のモットーは「敬愛」。
一日の終わりにこの言葉を思い出しながら、自分の行動や言葉を振り返り、少しでも人に優しく、心を寄せる日々を送りたいと思います。
カトリックの教えについて、もっと詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
精道三川台中学・高等学校「カトリックの教え」
オプス・デイ ジャパン「信仰を育む」
本校では、毎日の生活の中で、特に注意して果たしていく徳目を月ごとに決めています。
児童生徒のみならず、教職員も意識し、それぞれの年齢にあった目標を掲げています。
また毎月、学校新聞「たけうま」に教員が交代で、その月のモットーについて書いています。
各月のモットーは、以下の通りです。
月 | モットー |
4月 | 礼儀 |
5月 | 敬愛 |
6月 | 勤勉 |
7月 | 友情 |
8月 | 英雄的瞬間 |
9月 | 責任感 |
10月 | 誠実 |
11月 | 秩序 |
12月 | 寛大 |
1月 | 清貧 |
2月 | 剛毅 |
3月 | 感謝 |
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